LLM ポストトレーニング · SFT · DPO · GRPO

廖明月 Mingyue Liao

シニア機械学習エンジニア。百度(検索)、アリババ(大規模言語モデル応用事業部)を経て、現在は日本で LLM 技術エキスパートとして従事。機械学習エンジニアリング経験は 5 年以上。 専門は LLM のポストトレーニングで、GRPO でハルシネーション検出の評価モデルを学習し、その評価結果を DPO・self-reward に用いて生成モデルを改善。 医療分野では継続事前学習から検索・生成までを一貫して実装した経験あり。

主なプロジェクト

いずれも社内またはクライアント案件のため、コードとデータは非公開。各案件を「背景・課題・アプローチ・成果・担当範囲」の順に記載。

アリババ · 大規模言語モデル応用事業部 · 単独担当

GRPO による claim 単位のハルシネーション検出評価モデル

  • GRPO
  • Qwen 14B
  • RAG
  • 合成データ

GRPO で Qwen 14B を claim 単位のハルシネーション評価モデルとして学習。人手でラベル付けした 1,000 件超の claim で、F1 がオープンソースの RefChecker 比 7%、SFT ベースライン比 10% 以上向上(いずれも相対値)。

アーキテクチャ:RAG のレビュー生成パイプラインが claim を GRPO 評価モデルに渡し、評価モデルは合成ハードネガティブで学習し、報酬を生成モデルへ返す 推論 · RAG による文献レビュー生成 学習 · 合成ハードネガティブ 検索2 系統 リランク 構成案 本文生成担当工程 claim 分割参考文献付き 評価モデルQwen 14B · GRPO 正しい文章 誤り種別で書換えQwen 72B 難例のみ残す検出済みを除外 GRPO 学習正確性 + 形式報酬 self-reward · DPO 選好データ → 生成モデル 現行の評価モデルで負例を選別 · 3 回反復
評価モデルは 2 つのループの間に位置する。前回検出できなかった負例で自らを学習し、検査対象の生成モデルに報酬を返す。

背景

RAG による医学文献レビュー生成サービス(2 系統検索 → リランク → 構成案 → 本文)で、生成工程を担当。レビューは長文で、すべての結論を参考文献まで遡れる必要があり、人手による確認のコストが高かった。

課題

  • ハルシネーションの定義が広く、特に「不合理な推論」はルールやプロンプトで記述しきれない。例示もコンテキスト長に制約される。
  • GPT・Gemini を教師モデルにしても自社モデルの上限を超えず、蒸留路線は不成立。
  • 評価モデルはラベルだけでなく推論過程と根拠を出力する必要がある。そうでなければ説明も改善もできない。
  • 誤り例の多様性が不足し、既知の誤り種別しか検出できない。

SFT / DPO ではなく GRPO を選んだ理由

  • ハルシネーション検出は正解が明確でフィードバックが得やすく、数学・コードで RL が成功した条件と一致する。
  • SFT・DPO は推論過程をサンプルに書いて教えるしかなく、人間の推論力が上限になる。GRPO ならモデル自身が推論経路を探索できる。
  • チームの GRPO フレームワークは GSM8K で SFT を上回っていた。PPO はフィードバック経路が長く、うまく学習できなかった。

アプローチ

  1. 誤りの分類:前提の欠落、不合理な推論、取り違えの 3 種類に人手で分類。
  2. タスク分割:長文を参考文献付きの claim に分割し、1 件ずつ判定。
  3. 負例はすべて合成:Qwen 72B が指定の誤り種別で正しい文章を書き換え、既存の検出モデルで検出できたものを除外して難例のみ残す。これを 3 回反復。
  4. 学習:GRPO で Qwen 14B を学習。報酬 = 正確性報酬 + 形式報酬。
  5. 評価:人手でラベル付けした 1,000 件超の claim。

成果

  • F1 が RefChecker 比 +7%、SFT ベースライン比 +10% 以上(相対値)。
  • 評価モデルを生成モデルの改善に活用(専門性の人手評価スコア、いずれも相対値):self-reward アライメント +10%、claim 単位のハルシネーション率 約 50% 低減。評価モデルで作った選好データによる DPO +5%、日英術語辞書 +5%、RAFT によるノイズ耐性学習 +4%。

評価モデルによる生成品質の向上(専門性スコア、相対値)

self-reward アライメント+10%
評価モデルの選好データで DPO+5%
日英術語辞書+5%
RAFT ノイズ耐性学習+4%

担当範囲

評価モデルは単独で担当(誤り分類、データ合成、学習、評価)。RAG 生成品質の改善では生成工程のアライメントを担当。

SERVICEMEME · クライアント案件 · 2025.10〜

融資申込者のニュース審査:長いプロンプトからファインチューニングへ

  • SFT
  • DPO
  • エンティティと関係
  • 評価設計

Qwen3 + プロンプトで運用されていたコンプライアンス審査を、評価体系を備えたファインチューニングモデルに置き換え。本番導入済みで、クライアントは全データの一括処理に利用中。

背景

ニュース記事から、融資申込者の犯罪歴や制裁対象かどうかを自動判定するタスク。ケースが増えるたびにプロンプトが長くなり精度が明らかに低下していた。チームにファインチューニングの経験はなかった。

課題

  • 本質はエンティティ認識と関係判定。記事中の人物が申込者本人か、その出来事がリスクに当たるか。同姓同名・別名・関係の誤結合がすべて誤判定につながる。
  • 評価セットがなく、ルールを 1 つ変えると他のケースが壊れないか分からない。
  • 学習データがなく、アノテーション基準も統一されていない。

アプローチと成果

  1. まず誤り分類体系を構築:アノテーション不一致、データ未カバー、関係の誤結合、関係の欠落、エンティティ境界の誤り。分布をもとに改善順序を決定。
  2. アノテーション基準の統一:+1.2%
  3. 合成データでカバレッジ向上:+1.5%
  4. 全データで正例・負例ペアを交差的に構築し DPO、誤りやすいデータでの精度を改善:+3.5%
  5. 反復可能な改善サイクルとして定着:評価拡充 → 多様なデータ構築 → 正負ペア構築 → SFT → DPO → 評価。

担当範囲

誤り分類体系、アノテーション基準、データ合成、SFT + DPO 学習、評価体系。

SERVICEMEME · 米国医療機関 · Azure

自己修正機能付き Text-to-Python データ分析ツール

  • コード生成
  • DPO
  • LLM-as-a-judge
  • Azure AI Foundry

自然言語をデータ分析用 Python コードに変換。最終コード正解率 90% 以上、分析工数を 20% 以上削減。

4 段階ワークフロー:生成、実行と自己修正(最大 3 回)、評価、最終選択 1 · 初版生成ドメイン特化モデル 2 · 実行と修正成功率 82% → 93% 3 · 評価LLM-as-a-judge 4 · 最終選択試行記録 + 評価 実行 → エラー → 修正、最大 3 回 実行記録を最終選択に利用
  • 自己修正により実行成功率が 82% から 93% に向上。
  • 正誤コードペアによる DPO と、複数テーブル結合・低頻度フィールドのデータ拡充で総合正解率 +10%。

SERVICEMEME · 本番稼働中

高級バッグの AI 真贋判定システム

  • YOLO11
  • ConvNeXtV2 / DINOv2
  • ArcFace
  • AWS

1 つのバッグの複数画像を入力し、真贋判定と 8 つの構造化属性を出力。AWS 上のマイクロサービスとして稼働し、一次スクリーニングに利用(人による再確認と併用)。

  • 検出:YOLO11s で 32 か所の鑑定ポイントを検出、mAP50 0.91。
  • 真贋:ConvNeXtV2 / DINOv2 の局所スコア + XGBoost による全体判定で、End-to-End AUC 0.898(クローズドセット)。
  • カラー:ArcFace の距離学習による検索で、新色追加時も再学習不要。

過去のプロジェクト

壹永科技 · オフライン検証

LLM による仮想アノテーター

LLaMA 13B + QLoRA / LOMO による省メモリ学習。カルテ分割 + RoPE 拡張で 2048 トークンの制約を解消。

  • 治療効果評価67% → 85%
  • 手術断端53% → 87%
  • 放射線治療76% → 91%

アリババ · 壹永科技

医療分野の継続事前学習

医学用語の抽出と検索拡張による合成データ。2 層 ALBERT-tiny + span モデルで、本番の 4 層 ALBERT+LSTM+CRF を置き換え。

  • 推論速度3×
  • モデルサイズ−30%
  • F1+1%

百度 · 検索部門

検索クエリ向け汎用 NER

70 種類以上のエンティティ、3 階層のマルチラベル NER(ERNIE 事前学習 + マルチタスク学習)。

  • 小説 / 映像 / 楽曲(UNIT 比)+25%

壹永科技 · 本番稼働

医学用語の標準化

手術・診断・検査(検体)・検査(画像等)・薬剤の 5 領域で用語標準化を主導。

  • 導入病院数1,000+
  • 手術 / 診断 F1≥ 90%
  • 検査の正解率≥ 95%

職歴

  1. LLM 技術エキスパートSERVICEMEME · 日本
  2. アルゴリズムエキスパートアリババグループ 大規模言語モデル応用事業部 · 杭州
  3. シニアアルゴリズムエンジニア北京壹永科技 · 北京
  4. アルゴリズムエンジニア百度 検索部門 · 北京
  5. アルゴリズムエンジニア(インターン)貝殻找房(Ke.com) 検索・言語インテリジェンス · 北京

学歴

  1. 修士(工学)· ソフトウェア工学中国人民大学
  2. 学士(工学)· IoT 工学合肥工業大学

受賞歴

スキル

LLM ポストトレーニング

  • SFT
  • DPO
  • GRPO
  • PPO
  • self-reward
  • RAFT
  • 継続事前学習
  • 知識蒸留
  • MergeKit
根拠:GRPO 評価モデル、ニュース審査

RAG・検索

  • ハルシネーション検出(評価モデル)
  • リランキング
  • 埋め込みモデルの調整
  • チャンク分割戦略
根拠:GRPO 評価モデル

クラウド・基盤

  • GCP(Cloud Run、Vertex AI、IAM、Terraform)
  • Azure AI Foundry
  • AWS
  • Salesforce API
根拠:Text-to-Python、真贋判定

フレームワーク

  • PyTorch
  • Transformers
  • vLLM
  • TensorFlow
  • PaddlePaddle
  • Python
  • C++
  • Java

モデル

  • Qwen 系列(RTX 5090 でのローカル運用を含む)
  • LLaMA
  • ERNIE
  • BERT / ALBERT
  • GPT-4(教師 / 評価用)

連絡先

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